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はじめに:物性値と設計・解析の関連性
物性値とは、物質が持つ物理的な性質を定量的に表すパラメータです。CAE(Computer-Aided Engineering)解析や機械設計において、物性値を正しく理解し、適切に用いることは、信頼性の高い製品開発の基礎となります。
「この材料は、想定される荷重に耐えられるか」
「温度変化によって、部品の寸法はどの程度影響を受けるか」
こうした設計上の問いに対して、数値的な根拠を持って判断するための鍵が物性値です。
このページでは、CAE解析や設計で特に重要となる基本的な物性値について、その意味と、実務における役割を解説します。
環境条件による変化
多くの物性値は、温度や圧力などの環境条件によって値が変化します。例えば、高温環境下で使用される部品の解析において、常温時の物性値を用いると、実際の挙動を正確に予測できない可能性があります。この「環境依存性」を考慮することは、精度の高い設計・解析を行う上で重要です。
1. ヤング率 (E) :材料の剛性を示す基本指標
ヤング率(縦弾性係数)は、材料を引張る力に対する「変形のしにくさ」、すなわち剛性を示す指標です。同じ力で引っ張った場合、ヤング率が大きい材料ほど変形は小さくなります。
- ヤング率が大きい材料:変形しにくい。例:鉄鋼、セラミックス
- ヤング率が小さい材料:変形しやすい。例:ゴム、一部の樹脂
専門的には「応力-ひずみ線図」の弾性域(力を除くと元に戻る範囲)における直線の傾きとして定義されます。
スライダーを動かして荷重を変化させ、材料の伸びの違いを確認してください。
応用例
ヤング率は、構造物が荷重によってどの程度変形するかを計算する上で、基本的な物性値です。
- 構造設計:橋梁や建築物の梁が、自重や積載荷重によって過度に「たわまないか」を計算する際に使用されます。
- 機械設計:機械のフレームなどが、動作時の荷重で変形し、精度に影響を及ぼさないかを評価します。
- CAE静解析:構造解析において、最初に設定する基本パラメータの一つです。
2. ポアソン比 (ν) :縦横の変形比を示す指標
ポアソン比は、材料をある方向に引っ張った(または圧縮した)際、それと垂直な方向に生じる変形の比率を示す物性値です。
例えば、棒状の材料を縦方向に引っ張ると、長さが伸びると同時に断面積は細くなります。この「縦方向のひずみ」に対する「横方向のひずみ」の比がポアソン比です。
青い四角形を上下にドラッグして、縦方向の変形と横方向の変形の関係を確認してください。
応用例
精密な変形を予測する上で重要なパラメータとなります。
- プレス加工:板材から部品を成形する際、材料がどのように変形し、どの部分の板厚が減少するかを予測するために用いられます。
- 締結部の解析:ボルトを締め付けると軸が伸び、直径が微小に減少します。この変形が接触状態に与える影響を評価する際に考慮されます。
3. 横弾性率 (G) :ねじれやせん断への抵抗力を示す
横弾性率(剛性率)は、材料の「ねじれ」や「せん断(ずれ)」に対する変形のしにくさを示す指標です。
せん断変形とは、例えば、トランプの束の上面を水平方向にずらした時に生じるような、層が互いに滑る変形を指します。この変形に対する抵抗が横弾性率です。
横弾性率は、ヤング率(E)とポアソン比(ν)から以下の関係式で導出されます。
G = E / (2 * (1 + ν))
四角形にマウスカーソルを合わせると、せん断変形の様子が表示されます。
応用例
- ねじり部材の設計:自動車のドライブシャフトなど、回転トルクを伝達する部材のねじり剛性を計算するために不可欠です。
- 接着・接合部の評価:接着剤で接合された部分が、せん断力(横ずれさせる力)に対して十分な強度を持つかを評価します。
4. 密度 (ρ) :自重や慣性を考慮する上で重要な要素
密度は、単位体積あたりの質量を示す、材料固有の基本的な物性値です。解析の種類によっては、その影響が結果を大きく左右します。
応用例
- 静解析(自重の影響):大規模な構造物では、部材自身の重さ(自重)が無視できない荷重となる場合があります。密度はこの自重を計算するために必要です。
- 動解析(振動・衝撃):自動車の衝突や機械の振動など、時間と共に変化する現象の解析では、物体の「慣性」が挙動を支配します。質量、ひいてはそれを決定する密度は、動解析における重要なパラメータです。
- 軽量化設計:製品の性能を保ちながら、より密度の小さい材料へ変更を検討する際、その効果を評価するために正確な密度情報が求められます。
5. 応力-ひずみ線図:材料の力学的特性を理解する
応力-ひずみ線図は、材料に荷重を加えてから破断するまでの、応力(内部に生じる抵抗力)とひずみ(変形率)の関係をグラフ化したものです。これにより、材料の力学的な特性を詳細に把握できます。
材料に引張荷重をかけた際の、応力とひずみの関係を示す典型的な線図。
| 領域/点 | 意味 | 設計上の役割 |
|---|---|---|
| 弾性域 | 力を除くと変形が元に戻る領域。 | 多くの構造物は、この領域内で使用されるように設計されます。 |
| 降伏点 | 弾性域の限界点。これを超えると永久変形が生じます。 | 材料の強度基準となり、安全性を評価する際の指標となります。 |
| 塑性域 | 力を除いても変形が残る領域。 | プレス加工など、意図的に材料を変形させる塑性加工で利用される領域です。 |
| 引張強さ | 材料が耐えうる最大の応力。 | 材料の強度を示す代表的な指標の一つです。 |
6. 線膨張係数:温度変化による寸法変化を示す
線膨張係数(熱膨張係数)は、温度が1℃変化したときに、物体の長さがどの程度の割合で変化するかを示す指標です。
温度変化による物体の長さ変化(線膨張係数のイメージ)。
応用例
温度変化が伴う環境では、この物性値の考慮が不可欠です。
- 熱応力解析:線膨張係数が異なる材料を組み合わせて使用すると、温度変化時にそれぞれの伸縮量が違うため、内部に応力(熱応力)が発生し、反りや破壊の原因となることがあります。この現象を予測するために必要です。
- 精密機器の設計:わずかな温度変化による寸法変化が性能に影響する装置では、線膨張係数が小さい材料の選定が重要になります。
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